十割蕎麦の備忘録

十割蕎麦

福井在来種玄蕎麦を石臼で挽いた蕎麦粉を使用し、十割蕎麦を打っています。忙しかったりすると基本を忘れがちになるので、戒めのために打ち方を整理しました。

福井在来種 石臼挽き蕎麦粉に拘る

産地も色々あり、それぞれ特色があると思いますが、福井在来種の石臼挽き蕎麦粉(主にハーネス河合さん等)に拘っています。十割は難しい、という声を聞きますが、蕎麦粉が良ければ十割蕎麦は打てます。十割蕎麦は、二八蕎麦等とは異なる、蕎麦本来の栄養や美味しさを味わうことができると思っています。ただ、季節により、香りが薄い時期があります。打ち粉も福井県産です。製粉所の蕎麦粉と自分の電動石臼で挽いた蕎麦粉を、ブレンドして打つこともあります。
自家製粉用の電動石臼です。粗挽き粉が挽けます。

玄蕎麦から自家製粉した34メッシュの蕎麦粉。

水回しは一気加水

粉の湿り気、その時の温度、湿度で、水の量が変わるので、加水には最大の注意を払っています。未だに量を見誤ることがありますが、失敗の幅が狭くなり、失敗しても正常に戻すことができれば、ベテランの域だと思い、精度を高めています。水が少ないと固くなり、捏ねや延しに時間がかかるし、端っこが切れ易い。多いと、いわゆるズル玉になり「力」は要りませんが、ベチャベチャと手に付いたり、切る作業で包丁に付いたり、一番嫌われるイカダになり易い。しかし、ズル玉の方が美味いと思いますが、意図的にズル玉にするのは、相当に難しい技ではあります。
一気加水という、ある程度の量(絶対に多加水にならない量(約9割))を一度に入れて、少量で調整、という方法がありますが、この方が水の周りが良いので、普通の粉の場合も粗挽き粉の場合も、一気加水で水回しをしています。

最初の延しは、まん丸真っ平

最初の基本は、まん丸真っ平。こね鉢の作業が終わったら、延し板の上で、最初は手のひら、次に延し棒を使い延ばして行きますが、この時、まん丸で厚さが均等になることが上手くいくコツ、と教えられて、愚直に守っています。この作業が上手くいくと、次の四つ出し、肉分けの作業がスムーズにできます。出来上がりを左右する大事な仕事なので、まん丸真っ平と、呪文のように唱えながら延しています。

四つ出し

四つ出しは、微妙な麺体の固さに応じて、巻き棒を加減して転がしています。特に柔らかめの麺体の場合は、慎重に少しずつ角を出すことが必要で、ロールが強すぎると多くの場合、北海道の地図になってしまいますので、少しずつ、慎重に、バランス良く、を心掛けています。

肉分け

肉分けは、延し台の体に近い(手前側)ところで、延し台に垂直に、延し棒を使うと上手くいきます。延し台の高さにもよりますが、延し台の中央付近(斜め前に押す感じになる)で肉分けをすると、厚さが均等になり難くなります。肉分けは、必ず、縦と横、1回以上、目的は、厚さを均等に揃え、以後の延しの作業を容易にすることと、意識しながらしています。

裏面も延す

延しの最後は、必ず、裏面も延しています。裏面を延すことで、滑らかさが表裏均等になります。又、十割蕎麦の場合、延しの際、一方向にストレスがかかると、表面にヒビ割れを起こしますが、裏面も延すことで是正できます。

打ち粉

打ち粉は、必要最小限で。但し、ズル玉の時は多めに振って水分を含ませ余分な粉を払うことも手です。一般には、延しで打ち粉を振り過ぎると、麺に煉り込まれ美味しくなくなるので、必要最小限にしています。気の利いた福井の粉屋さんでは、福井在来種から採った打ち粉(同じ玄蕎麦の一番粉)を販売しているので、それを使うと本当の福井在来種の十割蕎麦になり、蕎麦湯も美味しくいただけます。私は、この打ち粉を使っています。
残念ながら、一般に販売されている殆どの打ち粉は、輸入物。一定の割合でブレンドし、国産ブレンド打ち粉と称して販売している粉屋さんもあります。

たたみ

均等に打ち粉を振り(刷毛や手で均す)、余分な打ち粉は刷毛で払い取っています。8枚たたみが一般的ですが、最初に包丁を入れる部分の折り目(右利きなら右側)を切ると切り屑が少なくなります。たたむ方法は、手前から奥に、右から左にと、色々、方法がありますが、背が高く手の長い人は、後者でも良いと思います。私は後者です。

切り

切板には、たたんだ麺体の大きさに合わせ、麺体の布団のつもりで打ち粉を敷いています。刃先と切板の接点に隙間ができるとイカダになりますが、布団のように打ち粉を敷くことで避けられます。
切りは、リズム良く均等な太さに切ることは勿論ですが、包丁に付いたカスを途中に2回程取り、その時に切り口をズレを調整することを心掛けています。切っているうちにどうしても体が斜めになり、切板を麺体に対し垂直に押せなくなって、斜め切りになりますが、途中で包丁の手を止め、カスを取る際に修正をすると、最後までキレイに切れます。

真空パック

美味しい十割蕎麦をリーズナブルに、がキャッチフレーズ、新鮮な十割蕎麦を新鮮な状態でお届け、がモットーなので、キッチンペーパーに1食分(150g)ずつ包み4食分を入れた食品容器を、ナイロンポリの袋入れて真空パック器で抜気密封しています。純正品はコストがかかるので、ナイロンポリと水切りネット(抜気口用)で代用しています。使用しているナイロンポリ袋は冷凍対応なので、冷凍庫での長期保存(3週間)が可能です。

レシピ

商品にはダシは付いていませんが、レシピとして、蕎麦の茹で方(大きな鍋で少量の麺を茹でる。再沸騰後40秒から80秒(麺の太さによる))、ダシの作り方(大根おろし汁に適量の創味のだしを加える)、冷凍した場合の茹で方等を載せています。

消費期限(4日)の実証

商品は、冷蔵保存した場合(開封した後はジップロックで密封)、4日間は美味しくいただけることを実証しています。インスタにもアップしました。
二日目のおろし蕎麦

三日目のおろし蕎麦

四日目のおろし蕎麦

麺類製造業の営業許可取得

台所に大きなシンク、打ち台、こね鉢等の蕎麦道具及び、衛生用品を設置。所轄保健所の検査を受け、麺類製造業の営業許可を取得しています。数年前に食品衛生管理者の講習を受けているので、ハサップによる衛生管理等、お決まりの衛生措置は理解していましたが、冷蔵庫に隔測式温度計を付けること、手洗場に自動水栓設置を付けることを指示されました。自動水栓は、法律の改正を受けて、丁度良い交換キットが出ていたので、自前で付けています。

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