おろし蕎麦の細麺、太麺を考える

十割蕎麦
福井の蕎麦が細麺になってきたのは、何時からだろうか?最近、福井放送が出した「ふくいのそばびと」には、県内の相当数の蕎麦屋さんが紹介され、それぞれの店主が蕎麦への情熱を語っていますが、併せて写真で各店の蕎麦が紹介されています。よく見ると、作っている蕎麦も百人百様で、同じような蕎麦麺は殆どありません。細いモノ、或る程度の太さのあるモノ、平たいモノ、二八、一九、喉越しの良さそうなモノ、十割、星入りのモノ、粗い粉を混ぜたモノ等など、それぞれにお店の特徴を出しています。しかし、殆どが細い麺でこれが現代人の好みであること分かります。
麺の太さの問題を考えてみました。

昔のおろし蕎麦は 太麺、子供は中華そば

生まれ育った地方で蕎麦と言ったら、近所の食堂(当時)で出されていた太くて黒い麺のおろし蕎麦で、大人の食べ物でした。子供はうどんかラーメン。しかし、その頃はラーメンとは言わず、中華と言っていました。蕎麦1杯より高い確か90円だった記憶がありますが、薄い醤油味の透明な出汁に黄色い真直ぐな細麺、トッピングは、三角のハム、蒲鉾、シナチク、半分の茹で卵、ネギで、今でも何件かのお店で、具材にチャーシューを加えて、中華そばという名称で出されています。中京テレビの超人気番組「オモウマい店」で、ソフトクリームだけで1時間番組になった「吉田食堂」もこのような中華そばを出しています。主役になったソフトクリームは、食後の楽しみであって、この店のメインは昔から(40年以上前)この中華そばでした。福井には実は、この中華そばが美味い店も沢山あります。

幼なじみとの蕎麦会

先日、幼なじみ5人と実家の蕎麦小屋で蕎麦会をしました。手ぶらで来て食べて貰うだけの蕎麦会でしたが、用意したのは、何れも福井在来種の蕎麦粉を使った細麺と太麺。まず、細麺は、自作の石臼で玄蕎麦から挽いた蕎麦粉で打ちました。以前の投稿記事にもあるような黒い麺です。その後、田舎の幼なじみは今でも太麺が好きなのかも?と思いながら、ハーネス河合の新蕎麦粉を使い同じ量で太麺を打ちました。どちらが好みなのか、少し実験気分で用意をしていました。
細麺にも太麺にも、60メッシュの粉を取った後の粗い粉を、34メッシュの目を通った少し粗目の粉をそれぞれに混ぜて、粒粒感のある蕎麦にしました。

太さの基準

太さとは、茹で上がりの太さですが、縦横4ミリ程度が極太、3ミリ程度が太麺、2ミリ程度がチョイ太麺だと思います。割り箸の先は縦横5ミリ×4ミリですが、割り箸の先ほどの太さになると超極太麺です。子供の頃の太麺の蕎麦は、この割り箸の先ほどの太さもあったような記憶があります。しかも、かなり、硬かった。二八か十割かは分りませんが、とにかく太かった。近年、細麺が主流で、太麺を出すお店が少なくなりました。前出の近所の蕎麦屋でも、細麺と太麺の両方を出しているようです。福井の蕎麦の食べ方はおろし蕎麦が主流ですが、おろし蕎麦には茹で上がり3ミリ程度の太麺を噛んで旨味を感じる食べ方が相応しいと、個人的には思っています。
茹でても1ミリ幅という極細麵を打つ人もいますが、全ては人の好みということであり、結局、色々な太さの蕎麦があって良いのだと思います。

大半が細麺志向

最初に聞いたところ、幼なじみ5人は全員が細麺志向でしたので、最初は細麺を茹で蕎麦皿でおろし蕎麦を提供しましたが、後は器を変えるのが面倒なので大笊に5~6人前を入れて出しました。
丁度、お昼時だったことと、細麺なので食べ易いのか、5人共に貪るように食べてくれていました。美味いか不味いかは食べる姿を見て分かりますし、何時も感じることですが、本当に美味かった時の感想は、最後の静かな呟きになります。今回もそうでした。私も少しだけ食べましたので、蕎麦粉1.5キロで生舟一杯(1人120g換算で約18人前)を6人で完食したことになります。メンバーの一人で、かなりの蕎麦通を名乗る御仁は、蕎麦は喉越しが良いのに限る、出汁は・・・、鰹節は・・・、ネギは・・・等、おろし蕎麦の蘊蓄を語っていましたが、ほぼ満足したようでした。
細麺は、食べ易い、喉越しが良いという食べる側の理由の他、作る側として、打つ技量が必要ですが、茹でるのに最適なんだと思います。細ければ、火力が小さくても早く茹でることが出来ますので、風味も落ちず、コストもかからない、ということで、細麺に移行してきたのかも知れません。

太麺

折角、打ったので、細麺と交互に太麺も出しました。4ミリ幅と3ミリ幅の2種類でしたが、何れも、モグモグと噛んで食べている様子でした。やっぱり細麺の方が良いなぁという人が3人、太いのも美味いと言ったのが2人で、味ではなく、食べ易さで評価していました。太いのも美味いといった人は、昔の○○(前出の近所の蕎麦屋)はこんな感じやった、最近は何処に行っても出していない太さや、余ったら持って帰る、と言ってくれていました。細麺が良いといった3人も、蕎麦の味が濃い、風味がある、と言いながら食べていましたので、太麺の良さも感じているようでした。
細麺と異なり太麺は、相当の火力が必要です。昔、釜の湯を薪を焚いて沸かしていたのが、前出の近所の蕎麦屋。何処の蕎麦屋もその頃は、そのような火力の強い大釜で蕎麦を茹でていたので、太麺でも対応できたのかと思います。
私の蕎麦釜は、これも自作品ですが、火口が12個あるコンロで2万カロリーの火力があります。釜一杯に入れた水も約20分で沸騰し、少々多めの麺を入れても湯温が下がることは無く直ぐに茹で上がります。油断をすると吹きこぼれる強火力の釜ですから、当然、太麺にも対応します。1.5キロ分の太麺も、約3分の2を平らげ、残り3食分程度を持ち帰りいただきました。

十割蕎麦の常識

十割蕎麦であることは告げていませんでしたが、食べ終わった後の持帰りのパックを作っている時、手打ち十割と書いた包みを見た蕎麦通の御仁が、今日のは十割か、こんなに上手く繋がるものなのかと感心していましたが、これまで二八でしか打ったことが無いとのこと。十割だと麺が切れ切れになるということを頻りに言っていましたが、私には不思議でなりません。粉が新鮮で細かければ、誰でも十割蕎麦は打てる、と改めて力説しておきました。二八の良さ、美味さは当然にありますが、十割だと麺が切れる、という誤解に基づく常識は、改めて欲しいと思います。繰り返しますが、今時の蕎麦粉なら、誰でも十割蕎麦は打てます。
楽しかった蕎麦会も約1時半々で終わりましたが、5人で約24~5人前、1人換算では5人前以上の蕎麦を食べたことになります。又、開催して欲しい、という期待を背負い、次回の蕎麦会に備えます。楽しみが増えました。

 

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