自作の電動石臼です

十割蕎麦
長らく自宅の小屋に放置してあった電動石臼です。久しぶりに回してみました。ブランクを感じさせない、さも、待っていてくれたかのような軽やかな回転(浮かせて回しました)でした。100V、左回転、回転数1分間18回という仕様ですが、作った当時が蘇ってきました。今回は、本格始動前なので、少し当時のことを書きます。

この記事の後、本格的に石臼の再生をしました。

現在の状態は、次の記事に纏めましたのでご覧ください。

2021年、石臼の目立ては、まずまずの出来でした

手回し時代

19年前、上司の自宅納屋に放置してあった大豆挽き用の石臼(直径35cm)を譲っていただきました。しかし、年代物の農家の石臼で、ニコイチなのか芯がズレており又、上臼を回す取っ手も付いていない状態でしたので、石臼としての機能回復から始めました。材質は、多分、一般的な安山岩だと思います。

2021.9/24追記:専門家に見て貰った結果、福井県美山町産の小和清水石でした。

石臼の機能回復

芯のズレは、知合いの石材店で穴を開け直して貰い修正し、金属の棒で芯棒を作り、取っ手はホームセンターで適当な大きさの木を組み合わせて、何とか石臼らしい回転が出来るようにしました。

次は、目立てです。石臼は固定された下臼と回転する上臼が外周部分で擦れ合うことで粉が挽ける仕組みですが、「ふくみ」の広さや「溝」の幅や深さが最適でないと、上手く粉が挽けません。使い続けると当然、擦れ合う面に刻まれた溝が浅くなります。譲っていただいた石臼もそんな状態でした。

まず、道具を揃えました。古い溝を削るための「サンダー」、そして、新たに溝を掘るための「手斧(ちょうな)」と、面に凹凸をつけるための「ビシャン」という特殊な道具を金物屋で注文しました。どう使うのかは、金物屋さんからアドバイスをいただきました。左がビシャン、右は手斧

下臼の面は、中心から外周にかけて極僅かな傾斜を付けます。上臼は反対で、玄蕎麦を入れる穴の下に「ふくみ」と呼ばれる隙間を設け、この隙間が外周部分に向かい段々狭くなるように削ります。上臼と下臼は、外周部分(直径の1割の幅)が擦り合うのであって、真ん中には隙間があります。玄蕎麦はこの隙間で潰れ、溝で砕けながら外側へと進み、石臼が擦れ合う外周部分で擦り潰され細かい粉になる、という仕組みです。相当時間が掛かりましたが、何とか形になりました。

次は溝彫りです。マジックで雛型の線を引き、その線に沿って、コツコツコツコツ・・・・。何万回と打ち続けます。どうしたらどんな粉が出来るのかも知らないまま、ひたすら手斧を打ち続けました。小雪がチラつく中、玄関先で石臼を叩く姿に近所の人が笑っていましたが、当の本人は無心です。ただ、ひたすらコツコツコツコツ・・・・。

作っていた当時はよく分かりませんでしたが、最近、外周部分の臼が擦れ合う部分の幅で粉の状態が変わることを知りました。又、直径の大きな石臼は、細かな粉が挽けるそうです。是非、色々、実験してみたいと思います。

手回しは時間が掛かる

苦労の甲斐があり、それなりに粉を挽くことが出来るようになり、単身赴任先の住宅にも持ち込んで、粉を挽いていました。当時の自作石臼は、二度挽き、三度挽きしないと微粉にならず、1キロの蕎麦粉を作るのに半日はかかっていました。何とも重労働で、辺りは粉だらけになるし、それから蕎麦を打つとなると丸1日仕事でした。しかし、粉屋さんでは買えないような、粗い粒の蕎麦粉が出来るので、プチプチという触感のある独特の美味しい蕎麦が楽しめました。

その後、粉の出来具合を見て、何度か溝の調整(目立て)をしています。

電動石臼に移行

それから4年後、ネットで仕入れた電動石臼の設計図を基に、鉄工所に勤める同級生にお願いしキャスター付きの鉄枠を作って貰いました。材料費、手間賃はお支払いしています。モーターやギア、チェーンの仕様もありましたので、その通りの材料を購入し、組み立てました。

(参考)

鋼材:L-50×50×4 6m、モーター:H2LM-29L-200‐200( nissei製)、スプロケット :FBN40B20D28、FBN40 B15D20 (片山チェーン製)、チェーンRS40(桜本製)、ベアリング:UCP204×2(NTN製)、キャスター:AS--75RH×4(ユーエイキャスター)

仕様は、下臼を台に固定し、下臼の中心部を貫いた鉄の芯棒で上臼を回転させる仕組みでしたので、石材店に再度、依頼し、上臼の中心部に5センチ角の芯棒の頭用の穴を開けて貰いました。四苦八苦しましたが、何んとかモーターで上臼が回るようになり、電動石臼の基礎が完成しました。

下臼。 真ん中の四角い金属で上臼を支え、回転させる仕組み

自作石臼メンテナンス。上臼のクリアランス拡張

2021年、石臼の目立ては、まずまずの出来でした

粉受け

蕎麦粉は臼の外周から出ますので、粉受けは絶対に必要です。手回しの時は、臼より少し大きな木桶を使っていましたが、電動では下臼の下に金枠に固定する必要があります。

下臼より直径が10センチ程大きな、真ん中に穴(芯棒が入る)を開けた丸い板に同じ直径の「曲げわっぱ」を組合せて金枠に固定し、その上に下臼を載せました。更に、臼全体を外側から包むように透明のシールドで覆いを作り、粉の飛散防止対策をしました。

臼の周りのカバーは粉除け

玄蕎麦自動供給装置

次は、玄蕎麦を自動で石臼に投入する仕組み作りです。臼の上に玄蕎麦を入れる大きな漏斗を置き、その下に設置した小さなボックスに少しずつ玄蕎麦が入るようにして、小さなボックスに入った玄蕎麦は、磁石で開閉する穴から、石臼に投入されるという仕組みです。石臼の回転で磁石のスイッチが入り、小さなボックスの穴が開いて少量の玄蕎麦が石臼に落ちる、というものです。

粉を集める刷毛は、上臼の取っ手の穴に取り付け、上臼の回転に合わせ粉を集める仕組みですが、この刷毛が電動磁石のスイッチになります。上臼の1回転に付き、1回玄蕎麦が臼に投入される、という仕組みです。手回しの時は、粉が挽ける具合を見て少しずつ、少しずつ、玄蕎麦を入れていましたが、自動だと、入れすぎると上臼が浮き、足りないと上臼が空回りするなど、電動石臼で一番難しいのが、この玄蕎麦自動供給の仕組みだと悟りました。自動供給装置

玄蕎麦の実は三角形ですので、漏斗の中で詰まることがあります。こうなると、玄蕎麦の供給が無いまま石臼だけが回っているということになるのです。一応、完成しただけの状態ではありますが、少しは楽になりました。

電動石臼での粉作りを再開するこの機会に、供給装置もリニューアルしたいと思います。

電動石臼のメンテナンス。玄蕎麦供給機の改良、下臼中心部の改良等

製粉用のふるい

製粉するときの「ふるい」は、少量の自家製粉用で5段の入れ子、網はナイロンメッシュですので、軽く使い易く出来ています。曲げ物は国産檜、桜皮止が使用されている手作りの品です。これで、蕎麦殻の振り分け、粗挽き粉、並み粉等、の作業を行います。購入した値段ほど使用していませんでしたので、これも十分に活用したいと思います。

電動石臼の市販品は、40センチサイズで60万円以上するようです。手作りした物は総額10万円以下。市販品はとても高くて手が出ませんが、趣味の世界、手作りでも個性的な粉ができれば良いのでは、と思っています。

手動ふるい機導入 これは便利ですよ

これから、石臼も探求してみたいと思います。又、ご報告します。

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