登録は100g以上、100g未満の規制、免許制度はもうすぐ 2022年ドローン事情

ドローン

2020年6月24日に、ドローンの登録制度(100g以上のドローン)が創設、2021年12月からドローン登録システム開始。2022年6月20日から登録制度が施行され、2023年には、一等、二等の区分で技能認証制度(免許制度)の実施が予定されています。目指すレベル4(第三者上空で飛行)に近づいているようです。

ロシアの侵攻で始まったウクライナ戦争では、軍事用無人航空機の存在が大々的に報じられています。元々、軍事用であったドローンが、脚光を浴びる2022年となりましたが、産業用としてホビー用としてのドローンの今後を、今一度考える機会の年だと思います。

民間ドローンの歴史と近未来

日本の民間無人航空機は、ラジコン飛行機やヘリコプターが主流でしたが、2010年位からリチウムイオン二次電池やジャイロスコープ等が普及し、マルチコプターの設計が可能になったことで民間のドローンビジネス参入が始まり、農薬散布や橋梁の点検、測量等でその活用が広まり、その一方で、ホビー用としての小型ドローンが広く普及し出しました。~wikipede引用~
そんな中、2015年(平成27年)4月22日、官邸屋上へのドローン墜落事件が発覚し、この事件をきっかけに、それまで曖昧であったドローンの規制が強化されることになりました。
官邸墜落事件以降に制定された法律は、2016年(平成28年)3月18日公布「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他国の重要施設等、外国公館等及び原子力発電所の周辺施設の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」でしたが、その後、対象地域を加える改正があり、2019年(令和元年)5月24日の改正で、法律名を「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(略称は小型無人機等飛行禁止法)以下、小型無人機等飛行禁止法。」に改名しています。この法律は、ドローンの種別(200g以上か未満か)に限らず、全ての小型無人機等に適用されるもので、指定した施設の300m以内に近づくことを禁止している法律で、主にテロ対策です。
警察庁のドローン関係の広報記事
国土交通省もこれに合わせ、規制を強めるための航空法改正を行っていますが、規制強化に併せ、「空の産業革命」といわれるドローンの今後の利活用について、「無人航空機(ドローン)の飛行の環境整備」、「無人航空機(ドローン)のレベル4実現のための新たな制度の方向性」と題したロードマップを発表しています。
国土交通省のドローン活用ロードマップ

用語の整理

英和辞書によれば、ドローンは蜜蜂の雄蜂のことを指す英語で、のらくろもの、いそうろう、無線操縦の無人機という意味があります。ドローン、UAV(unmanned aerial vehicle)、無人航空機、模型飛行機、小型無人機等、使用目的や法律毎に色々な呼称があるので、用語の整理が必要です。整理をしてみました。
適用を受ける法律は大きくは二つです。
一つが「航空法」で、航空法での「航空機」「無人航空機」という区分の内、「無人航空機」がドローンに当たります。「航空法」は、2022年6月20日から適用対象とする無人航空機を100g以上のドローンとし、国のシステムへの登録を義務付けていますが、無人航空機の枠外の100g未満のドローンについても、一部の規定(飛行禁止空域、飛行方法等)を適用する、としています。
もう一つは「小型無人機等飛行禁止法」で、ここでは「小型無人機」という区分です。「小型無人機」の定義は、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他航空の用に供することが出来る機器であって構造上人が乗ることが出来ないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることが出来るもの」ですが、回転翼航空機がドローンに当たります。
「小型無人機等飛行禁止法」でのドローンとは、100g以上100g未満に関わらず、「ドローン全て」です。尚、小型無人機等の「等」は「特定航空機用機器」を意味し、気球やハングライダー、パラグライダー等を指します。

100g未満と100g以上の違い

100g未満(トイドローン)

100g未満のドローンは、国への登録義務が無いことや、100g以上のような禁止行為の除外申請の必要はありませんが、100g未満と言えど、
「小型無人機等飛行禁止法」については、全部の適用を受けます。
「航空法」については、登録義務は無いものの、一部、具体的には、「飛行禁止4空域(空港周辺、住宅密集地(DID)、高度150m以上、緊急用務空域)」及び、「禁止行為8形態と注意義務(飲酒時飛行、危険な飛行、夜間飛行、目視外、人・物との30m以内の距離、催し物上空、危険物輸送、物件投下)、(飛行前確認、衝突予防)」が、適用されます。
又、合法的に飛行させていたとしても、結果が発生すると罪に問われる場合があります。例えば、道路を走行中の自動車に衝突させたり、落下させて人や物に危害を与えた場合等、刑法やその他の法律に抵触する行為もあります。公園や観光施設等は、予め、ドローン飛行を条例等で禁止している場所もあり、これも別の違反になります。
航空法が改正される2022年6月20日以前は、200g未満という規定でした。200gが区分の境になった理由は、墜落した際、ソフトボール程度だったら大きな怪我はしないだろう、という判断からソフトボールの重さが基準になったというウソみたいな話がありますが、200g未満であろうと、硬い物体がそれなりの速度で人に当たれば、場合によっては大怪我をするケースもあります。近年の200g未満の高機能、高性能なドローンに鑑み、規制対象のドローンが100g以上になったようです。
今、100g以下のドローンの性能アップ競争が、盛んになっています。これまでの200g未満のドローンの性能が上がったように、100g以下のドローンも同じような道を歩むと思われます。しかし、事故等の実害が多くなると、200gが100gになったように、それ以下に法律が改正されるものと予想されます。

100g以上(航空法適用)

100g以上のドローンは、「航空法」の無人航空機の規定全部と、「小型無人機等禁止法」の適用を受けます。産業用のドローンでなくても、個人ユースのドローンも、当然、厳格な運航管理が必要になります。因みに、ドローンスクール等で使用されている高性能ドローン、「マビック2プロ」「ファントム4プロ2.0」というDJI社製のドローンは、それぞれ907g、1,375gの重さです。
昨年6月の航空法の改正で、国土交通省航空局への登録が必要になりましたが、これまで通り、禁止区域でも国土交通大臣の許可や承認があれば、飛行が可能です。安全に関する「規制強化」と、安全が確保された場合の「規制緩和」という、二つの問題をよくよく考えていけば、新しい産業の切り札としての期待が膨らむのだと思います。

飛行禁止空域と禁止される飛行方法 (100g以上100g未満共通)

官庁の公刊物が一番確かなので、リンクを張りました。
飛行ルール(国土交通省・警察庁)
警察庁のドローン関係の広報記事

間もなく、技能証明(免許)制度が始まります

現在、ドローンの技能証明(免許)制度が企画されています。国土交通省がロードマップを示しています。
ロードマップによれば、ドローン免許(技能証明)の実地試験免除は、国の登録を受けた講習機関の講習を修了した場合、とありますが、国の登録を受けた講習機関が何処になるのか、現在、1200校余りあるドローンスクールのうち、何処が指定されるのか、気になるところです。ロードマップには、要件を満たすスクール、とだけあります。確かに、実技の無いスクールのあるので、これを機会に相当数が淘汰されるものと思います。
正規のドローンスクールは、学科や実技の指導体制がしっかりしていますし、教本は数種類有り、中身が充実しています。講習機関そのものは2日間とか3日間ですが、教本は教習後、じっくりと自習できる内容です。更に、安全運航管理者の課程もありトータル的にドローンのことを学べます。私は、「一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)」の指定校、「北陸の空株式会社」でした。
本年7月までに、講習機関の登録基準、無人航空機操縦士の教則、試験問題のサンプル等が公表されるようですので、関心を持って待っていたいと思います。

ドローンスクール事情(講習管理団体79団体、講習機関1,330団体)

2015年10月に民間資格のドローンスクールが登場してから7年弱ですが、今では、国土交通省が認定した証である、国土交通省のホームページに搭載されている講習管理団体が79団体、国土交通省のホームページに搭載されている講習機関が1,330機関(令和4年5月現在)あり、その他、国土交通省のホームページに搭載されていない講習機関(未認定講習機関)も実数は分かりませんが、相当数、存在しています。近年、業務に特化するスクールが増えてきたように感じます。
一般に、講習金額が30万円近くかかるスクールは、国土交通省登録講習機関で、通信教育のようなシステムの安い金額の講習機関は、国土交通省の登録が無いスクールです。
国土交通省の登録の無い講習機関でも、テキストの内容に間違いは無く、キチンと学習すれば法的な知識や操縦の仕組みは身に付くと思います。但し、実機の操縦やインストラクターの授業は無いので、飛行経験時間は自分で買ったトイドローンでの自習になります。又、認定証も登録講習機関が発行するような「ドローン操縦士回転翼3級」という表記ではなく、単に「ドローン操縦士検定3級」というものです。何か、権威が無いような、申請時に記載する「飛行経験、知識、技量」の判定がどうなるのかの心配があります。初めての人はやはり、登録講習機関が良いのでは、と思っています。

 

ドローンスクールは国土交通省認定校がお勧め

コメント