越前おろし蕎麦の大根おろし

十割蕎麦
全国レベルで美味しいと評判の、湯がいて冷水で締めた蕎麦麺に大根おろしをかけて食す、越前おろし蕎麦。単純な蕎麦の食べ方ですが、大根おろしの作り方や使い方には、実は、色々とレパートリーがあります。大根の先の部分は、夏、特に辛いことが多いですが、一本分の根元の部分と先の部分を別々に卸してブレンドし辛みを調整する方法、辛み材としてネズミ大根等の異なる大根をブレンドして辛さを調整する方法等、大根おろしにも色々と工夫があります。老舗の蕎麦屋さんは、何種類かの大根をブレンドし味を一定に保っていると、HPで紹介しています。大根おろしは、日持ちならぬ時間持ちしない食材です。おろすタイミングを間違えれば、折角の石挽十割の美味しい蕎麦麺も台無しです。今日は大根おろしについて考えてみました。

大根おろしの道具

大根おろしの道具の話ですが、他にも山葵をおろす道具、生姜をおろす道具と食材によりおろし器が異なります。それぞれ代用もできますが、やはり食材に合わせた専用のおろし器が一番だと思います。所有している大根おろし器の幾つかご紹介します。

我が家の大根おろし器色々

天狗印 銅製卸金 手作り(本職用) 特大(320㎝×175㎝)(下段中)

持つと危険を感じるほど、鋭利な刃が並んでいる新潟、三条・燕産の銅製おろし器。表裏があり、表は粗く裏は細かいので食材に合わせ使い分けることが出来ます。粗い方でおろすとフワフワの大根おろしが出来、大根汁も上手く作れます。ただ、指を怪我する恐れもあるので、おろす際に軍手等を着用した方が良いと思います。少量のおろし蕎麦を食べるには、手軽とは言えない本職用です。

メーカー不明 鬼おろし器(下段左)

鬼おろしといえば竹製のものが主流ですが、これは木枠にセットしたステンレスの板に四角い穴をたくさん開け刃にしている鬼おろし器。殆ど使っていませんが、ゴロゴロとした面白い食感の大根おろしが出来ます。しかし、大根汁を取るのには不適です。

サン株式会社製 電動おろし器(FP-330A)(上段左)

大量に作る場合は電動式が良いのですが、大根の皮を剝き、20㎝程度の長さにして四等分する必要があり、準備が少々、面倒です。色々なメーカーが作っていますが、家庭用では、値段も機能もよく似た感じです。

和田商店 プロおろしⅡ 水切り付(上段右)

最近よく似た製品が出ていますが、この形ではパイオニア的かも?ステンレスのおろし板は適度な刃が付いており、安定した台座が奥に傾斜しているためおろし易く、水切りが付いているので大根汁を取るのに便利。新製品が出ています。

ナカヤ化学産業 すべらないおろし器(下段右)

イケア等に売っている超安価(110円)な、ポリスチレン製おろし板の容器付きおろし器で、安い割に上手くおろせて手軽に大根汁を作ることが出来ます。最近、近くのスーパーで購入しましたが、何と越前市のメーカーで、使い易いので妻にも好評です。耐久性が鍵です。

大根おろしの使い方、色々

しぼり汁+搾りかす少々派

大根が少し勿体ない使い方ですが、大根おろしを作った後、布巾等で大根おろしを絞り大根汁を作り、その大根汁に別に作った出汁を調合しておろし蕎麦のかけ汁を作ります。ポイントは、かけ汁に少量の搾りかすを混ぜることです。器に盛った蕎麦にかけ汁をかけた際に、少量の大根おろしが麺にかかる程度が食べ易いと思って、私はそうしています。

トッピング派

トッピングの際に、ネギや鰹節等の材料と一緒に大根おろしを添える、という方法。大根おろし蕎麦と一目で分かる使い方です。

別容器(出汁・大根おろし)派

二つの器に出汁と大根おろしを入れておき、食べる人が二つを合わせてかけ汁を作り蕎麦にかける、という使い方。食べる直前にかけ汁をかけるので麺が伸びないのがメリット。お店で出すおろし蕎麦は、こんな感じも多いと思います。

大根おろしそのまま派

おろしたままの状態に出汁を調合して少しザラザラの状態のかけ汁を作り、麺の上にそのままかけるという使い方で、大勢で蕎麦を食べる蕎麦会向き。茹でて容器に盛った麺にそれぞれが、大きなボールに入ったかけ汁をお玉ですくいぶっかけてソバを食べる、という方法。蕎麦を貪り食うという感じになります。

大根をおろすタイミング

おろし蕎麦に使う大根おろしは、原則、作り置きが出来ません。
30分前位におろして、大きなタッパに入れ蓋をして冷蔵保存すれば、臭いも出ず、風味も損なわれないと思います。夏大根は先の方が辛いので、辛いのが苦手の方は、少し時間を経たものをお使いになれば、辛みは取れていると思います。
保存法としては、おろして直ぐに真空パックし冷蔵保存すれば1~2日は持ちますが、2日目になるとやはり劣化してしまいます。冷蔵保存も可能ですが、小分けして冷凍しても新鮮さを維持するのは難しいようです。
辛みも楽しみたいという方は、家庭で食べる量(3~4人前)なら、蕎麦を茹でる20分位前が良いと思います。搾り汁を取りかけ汁を作る派の人でも、十分に作業ができる時間です。
写真は、よく使っている、和田商店のプロおろしⅡと、110円のナカヤ化学産業のすべらないおろし器です。手軽に使えて便利です。プロおろしは10年以上メインで使っていますが、今のところ、刃は大丈夫で容器の痛みもありません。

滑り止めが付いていて便利です

大根おろしアラカルト

鋭い刃で、速くおろすと辛くなる

おろす前には辛くない大根でも、鋭い刃の大根おろし器で速くおろすと、大根の細胞が破壊される際に生成される「イソチオシアネート」により、大根が辛くなるそうです。
辛いのが好きな人は、鋭利なおろし器で速くおろし直ぐに食す。逆に辛いのが苦手な人は、優しくおろし辛み成分の発生を抑え且つ、暫く時間を置く、という方法を取ると良いでしょう。又、辛くて食べられないようであれば「イソチオシアネート」は熱に弱いので、電子レンジで数秒加熱すると辛みが消えます。
辛さを売りにしたお蕎麦屋さんに何回か通いましたが、店員さんに「うちの蕎麦は一味をかけないでください、かけなくても十分辛いです。」と言われたことがありましたが、確かに蕎麦の味が分からない程の大辛で、店を出た後でもピリピリした辛さが口に残っている程でした。ほどがありますよね。

栄養が豊富

ビタミンC、ビタミンB、葉酸等の栄養素、アミラーゼやプロテアーゼ等の消化を助けてくれる酵素やイソチオシアネートというアンチエイジング効果成分が含まれています。辛み成分のイソチオシアネートは、殺菌作用と発がん予防効果も確認されているようですね。
蕎麦も栄養豊富な食べ物ですが、大根おろしをかけて食べれば鬼に金棒ですね。但し、辛い大根おろしは、空腹状態で食べると消化酵素の働きが強すぎて胃を痛めてしまうとのこと。注意が必要です。

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