安全・安心な蕎麦打ち

十割蕎麦
食中毒のシーズンです。趣味の蕎麦打ちと言え、人様に食べていただくということでは、一緒です。衛生観念を強く持ち、不幸な事故が起きないようにします。

食品衛生責任者

少し前(令和元年12月5日)になりますが、食品衛生責任者養成講習会を受講し、食品衛生責任者の資格を得ました。国家資格の食品衛生管理者とは異なり、講習会を受講すれば貰える資格です。私も蕎麦打ちのマナーとして受講した次第です。新型コロナウイルスの蔓延で、感染防止対策は強化されていますが、内容に変化はありませんので、講習で学んだことの一部をご紹介します。

講習修了証書 表示プレート

ここでは、食中毒を中心に書きます。

講習会の概要

1日の講習で、費用は8,000円(プレートは別料金(500円))でした。
公衆衛生学1時間、衛生法規2時間、食品衛生学3時間の計6時間で、午前と午後の各3時間ずつの座学です。会場で配布されたハンドブックを基にした細かな説明があり、解りやすかったです。

食中毒

食中毒には、細菌性、ウイルス性、寄生虫、自然毒、化学物質によるものの5種類がありますが、年間約1,000件の発生があり、近年、発生月は平準化している傾向、患者数は約2万人ということです。食中毒の原因食品の大部分を占めるのが、細菌やノロウイルスによるものだそうです。
手洗いを十分にしたり、調理器具を清潔にすることが重要で、食材によっては十分な加熱が必要だったりしますし、指に化膿創がある場合は、食材に直接触れたり調理することは避けるよう、指導されています。又、作業場の清潔整頓、消毒等の衛生管理を徹底すること、給水、排水設備、廃棄物の管理、ネズミや衛生害虫の対策も指導されました。
蕎麦を打つ場合は、普段から、事前に爪切りをして手指をきれいに保ち、手洗い、消毒を励行、用を足した場合も当然、手洗い、消毒を励行しています。蕎麦打ちのために、手指の怪我は避けたいですね。段位認定試験でも、最初に手指の状態を確認されます。清潔は蕎麦打ちの基本です。
新型コロナウイルスの蔓延で、衛生用品が沢山、出回るようになり、プラスチック手袋も直ぐに手に入りますが、場合により、この手袋の着用も視野に入れたいと思います。

食中毒の体系を表にしました。

分類原因菌常在場所原因食品の例
細菌性サルモネラ菌鶏、ネズミ、下水等食肉、鶏卵
腸炎ビブリオ海水・海の汚泥、魚介類等魚介類、刺身、寿司等
腸管出血性大腸炎(O157等)主に牛の腸管内食肉、野菜、果物等
病原大腸菌ヒト、動物の腸管内食肉・サラダ等加工・調理食品
カンピロバクター動物、鳥類の腸管内等鶏肉(生食)、井戸水等
ウエルシュ菌ヒト、動物の腸管等食肉、同加工品、煮物、カレー、シチュー等
エルシニア食肉・家畜、ネズミの腸管内食肉(生食)、加工食品
セレウス菌(下痢型)土壌等環境、穀類、野菜等スパゲティ、焼飯等
コレラ菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフスA菌、ナグビブリオ、エロモナス
黄色ブドウ球菌ヒトの化膿創、傷、牛等の体表洋菓子、おにぎり等
セレウス菌(嘔吐型)土壌等環境、穀類、野菜等スパゲティ、焼飯等
ボツリヌス菌土壌、動物の腸管内等瓶詰、レトルト類似食品等
ウイルス性ノロウイルスヒトの腸管内調理食品(パン、寿司等)、生ガキ、シジミ等の二枚貝
その他のウイルスA型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、サポウイルス、ロタウイルス使用水、豚肉
寄生虫アニキサス、クドア・セプテンプンクタータ、サルコシティス・フェイアー(フェアリー)、クリプトスポリジウム等
 

自然毒

動物性フグ、毒カマス、ホタテ貝、ムール貝等
植物性毒キノコ、イヌサフラン、じゃがいも、トリカブト、スイセン等
化学物質化学物質、金属等殺鼠剤、農薬、洗剤、重金属
アレルギー様食中毒ヒスタミン、サンマ、ミリン干し、赤身魚等

用語の解説

冷蔵、冷凍

冷蔵:食品を凍らせないで0~10C°の温度で保存すること

冷凍:食品を-30~35C°の低温で凍らせ、その後-15C°以下の冷凍状態で保存すること

食品を冷凍状態にしても細菌は生きている。解凍中に急速に繁殖する場合がある。

冷蔵庫、冷凍庫内の温度管理は非常に重要、庫内の清潔整頓も重要。

腐敗

食品のたんぱく質や炭水化物等が、微生物に作用で分解されることで、外観やにおい、味が変化し、アンモニアや硫化水素、酪酸等の様々な悪臭成分が生じて、最後には食べられなくなる状態をいい、微生物が食中毒の様に病原微生物でない場合は、腐敗した食品を食べても下痢や嘔吐等の症状は見られない。

消毒、殺菌、滅菌

・消毒とは、病原微生物を死滅させて感染症や食中毒を防ぐこと。

・殺菌とは、感染症や食中毒の、腐敗、変敗等の原因となる微生物を死滅させること。

・滅菌とは、全ての微生物(芽胞も含む)を死滅させることで、手術や検査の器具等に用いられる。

感染症

講習会で使用したハンドブックでは、この感染症の項が食中毒より先でした。感染症の知識は必須なのだと思います。細かい分類があり、予防には、食中毒の予防と同様、飲料水の衛生、廃棄物の適切な処理、ネズミやゴキブリ、ハエ、ダニ等の害虫の駆除、作業場の衛生保持、従業員の健康管理、作業開始前の健康チェック、服装の衛生、手洗い等についての理解と徹底が求められています。

感染症名を表にしました。

類型感染症名特徴
1類エボラ出血熱、クリミアコンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱感染力や症状からみて極めて危険性が高い
2類急性肺白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1,H7N9)

+新型コロナウイルスは、暫定でここですね。

感染力や症状からみて危険性が高い
3類コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸炎感染症、腸チフス、パラチフス食中毒として集団発生することがある
4類E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、鳥インフルエンザ(H5N1,H7N9を除く)マラリア、野兎病、その他政令で定めたもの(デング熱等)動物から感染することがある
 

5類

インフルエンザ(鳥、新型インフルエンザ感染症を除く)、ウイルス性肝炎(E型、A型を除く)、クリプトスポリジウム、後天性免疫不全症候群、性器クラジミア感染症、梅毒、麻しん、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、その他政令で定めるもの(ノロウイルス等)発生動向等を国民に情報提供することで拡大防止を図る
新型インフルエンザ等感染症新型インフルエンザ

再興型インフルエンザ

新型又は既知のインフルエンザで、免疫がないため国民の健康に重大な影響を与える恐れがある
 

指定感染症

既知の感染症(1~3類及び新型インフルエンザ感染症を除く)で、国民の健康に重大な影響を与える恐れがある
 

新感染症

既知の感染症と異なるもので、国民の健康に重大な影響を与える恐れがある

 

HACCP に沿った衛生管理

ハサップと読みます。平成30年の食品衛生法の改正で、全ての食品等事業者を対象に定められた制度で、一般的衛生管理と工程管理を盛り込んだ衛生管理計画を作成し、計画に沿って実施した内容を記録することが中身。衛生管理の取組みの「みえる化」で、対象事業者の規模、業種に応じた衛生管理とする、とされています。

食品衛生責任者ハンドブック

内容が盛り沢山で、とても全部は覚えきれません。名前の通り、ハンドブックですので、手元に置いて何時でも見返せるようにしています。


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