十割蕎麦の主な栄養価

十割蕎麦
この記事は、文部科学省の「日本食品標準成分2020年版(八訂)」に基づいていますが、分析の対象は「加食部分」になっていますので、ソバでいうと、殻を取った「丸抜き」だけの数値と思われます。この記事は殻抜きの話です。お許しください。(写真はソバ殻です。)

生そば(十割蕎麦)100g当りの主な栄養値

文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、蕎麦粉十割の生そば(十割蕎麦)100g当りの主な栄養値は、

エネルギー:271kcal、水分:33.0g、たんぱく質:9.8g、脂質:1.9g、炭水化物:50.3g、食物繊維:6.0g

となっています。数字が羅列されているだけの表からの引用なので、この数字を見てもピンときませんので、解説していきます。

十割蕎麦1人前のカロリーは?

十割蕎麦の1人前は、通常、生麺120gで提供します。大盛だと150gなので、前記の数字を基に計算しますと、

普通盛(生麺120g)

エネルギー:325.2kcal、水分:39.6g、たんぱく質:11.76g、脂質:2.28g、炭水化物:60.36g、食物繊維:7.2g

大盛(生麺150g)

エネルギー:406.5kcal、水分49g、たんぱく質14.7g、脂質:2.28g、炭水化物:75.45g、食物繊維:9.0g

になります。この数字が、それぞれの十割蕎麦の生麺の主な栄養値です。

茹でると麺が水分を含み重くなりますし、一部が湯に溶け出ますので「茹で麺」は、この数字とは異なります。あくまでも、茹でる前の生麺の状態の数字です。

十割蕎麦と二八蕎麦のカロリーは、ほぼ同じ

引用している表では、蕎麦粉(全層粉)100g当りのカロリー:339Kcalで、二八蕎麦の一般的な「つなぎ」は小麦粉の中力粉ですが、中力粉1等100g当りのカロリー:337Kcalとなっていますので、二つの数値は殆ど変わらず、小麦粉を2割混ぜた二八蕎麦も十割蕎麦も、カロリー量の差は殆ど無い、と言えます。

出汁やトッピングする食材のカロリー

蕎麦の麺だけを食べる訳ではありませんので、出汁やトッピングする食材のカロリーも計算しました。ここでは、かけそばの出汁と天ぷらそばの海老天を例にします。

かけそばの出汁
出汁:だし汁6kcal、酒11cal、醤油10kcal、みりん22kcal 計49kcal
天ぷらそばの天ぷら
車海老2本:39kcal、薄力粉26kcal、卵:6kcal、油:44kcal 計115kcal

かけそばのカロリー

蕎麦の麺(120g)だけのカロリーが、325.2kcalですので、出汁のカロリー49kcalをたすと、374.2kcalになります。

海老天そばのカロリー

蕎麦(120g)の麺と出汁の合計が374.2kcalですので、トッピングする海老の天ぷらのカロリーをたすと、489.2kcalになります。

十割蕎麦の糖質は、二八蕎麦より少ない

糖質量は、炭水化物量から食物繊維量を引いて算出します。

小麦粉(中力粉1等)100g当りの食物繊維量:2.8g、炭水化物量:73.2g
蕎麦粉(全層粉)100g当りの食物繊維量:4.3g、炭水化物量:67.3g

ですので、両者を比べれば、小麦粉(中力粉1等)は蕎麦粉(全層粉)より、食物繊維量が少なく炭水化物量が多いので、糖質量は多くなります。この数値から、十割蕎麦は二八蕎麦より糖質が少ない、と言えます。

しかし、蕎麦は、うどん、そうめん、スパゲティと比べれば糖質は少ないが、中華麺よりは糖質は多い、と言われています。

そば粉30%以上小麦粉70%以下の割合であれば、蕎麦

全国製麺協同組合連合会の見解(公式ホームページ)では、日本そば(蕎麦)は、ソバの実を使った蕎麦粉を加工した麺類で、そば粉30%以上、小麦粉70%以下の割合で混合した原料を用いたものを日本そばと呼んでいる、としています。

何とも幅が広い感じがしますが、この解釈からすれば十割蕎麦は、そばの頂点だと感じます。皆さんは、どう、思われますか?なお、同ホームページには、全国にはいろいろな蕎麦がある、とも記しています。

蕎麦は、低GI値食品

蕎麦のGI値は、一般的に54と言われています。一般的にというのは、この数値は蕎麦粉の割合が、十割なのか二八なのかそれ以下なのかが分からないから、という理由からです。GI値が55以下の食品が低GI 値で、56~69までの食品を中GI値食品、70以上の食品を高GI 値と分類されています。蕎麦が何故、低IG値なのかについては、蕎麦に含まれる豊富な食物繊維が糖の吸収を抑えてくれるからだと言われています。

GI値の参考表

低GI(55以下)中GI(56~69)高GI(70以上)
中華麺 50

蕎麦  54

パスタ 65そうめん 80

うどん  85

ソバは、唯一ルチンを含む穀物

ルチンとは、「フィトケミカル」の中の「ポリフェノール類」の中の「フラボノイド系」の一つで、抗酸化作用が高く、血糖値や血圧の上昇を抑える効果があると言われています。穀物でルチンが含まれるのはソバだけです。効果を羅列すると、血液サラサラ、血管強化、冷え性の改善、生活習慣病の予防、美肌等、ルチンは良いこと尽くめです。十割蕎麦は、その効果が一番高いと思われます。

真空パック技術や冷蔵・冷凍技術の進歩の恩恵を一般家庭で享受できる時代になり、又、物流システムの高度な発展と相まって、食生活は年々、豊かになっています。生麺の十割蕎麦を手軽に入手し、家庭で楽しめる良い時代になりました。

殻をどう含ませるかも、蕎麦の奥行

蕎麦粉が黒っぽいのはソバ殻を含んでいるからで、玄蕎麦の質にもよりますが、その割合で味や風味、趣きが変わります。通の世界ですが、本当に奥深いものです。本当の十割蕎麦とは、ソバ殻を含ませたものをいうのかも知れません。ソバ殻の栄養価は未だ、見つかりません、調査中です。

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