長い間、欲しいけど買えない、という状態が続いていた寄木切り板を昨年秋に購入しました。年末年始その後も都度都度、使用していますが、やはり、使い勝手が良い事を実感しています。
イチョウの切り版
私は切り板を3枚所有しています。最初に買ったのが、イチョウの切り板で、延し板と同じ頃(平成12年(2000年))でしたので、今年で21年目になります。
買った場所は、「ふるさと道場」というそば道場がある池田町の木工屋さんでしたが、20年も前ですので今よりはるかに安い値段でした。近年の蕎麦打ちブームで、蕎麦道具は年々、値上がりしていますが、長さ83センチ、幅33センチ、厚さ3センチという立派なイチョウの1枚板でも数千円でした。蕎麦の切り板というより、魚屋さんで大きな魚を捌くのに使うような感じの切り板です。位置がずれないように駒を自分で付けています。しかし、次に紹介する切り板を購入してからは、ずーと、お蔵入りです。
池田町の「ふるさと道場」は、蕎麦打ちの聖地と言われている場所で、段位認定制度はこの道場が発祥、という話を聞いたこともあります。福井は蕎麦打ちが盛んですが、県内の有名な蕎麦屋さんもアマチュアの道場主も、かなりの数の人がここで段位を取っています。道場の入り口には、初段から三段までの名札がありますが、それを見ると、へぇー、あの人もそうなんや、と改めて感心します。不肖私もこの道場出身で、今よりずっと未熟な頃でしたが、平成21年9月に三段位をいただきました。話が横にそれましたが、そんな土地柄ですので、早くから蕎麦道具を作る人、売る店があった訳です。
軽量抗菌ゴムの切り版
二枚目の切り板は、材質が木ではありません。軽量抗菌ゴムと紹介されているもので、長さ84センチ、幅42センチ、厚さは0.8センチという大きさで、重さは約1.5キロと軽いので、持ち運びが便利なものです。この切り板も15年程経っていると思います。
特徴は、包丁の当たりが柔らかいことと、表面に細かなブロック用の滑り止めがありますので、麺体がズレ難くなっています。又、幅が広いので麺を大きく畳むときに便利です。特に切れやすい粗い粉を十割で打つ場合は、畳み幅をできるだけ広くしますが、42センチありますので余裕です。駒板も粗い粉の場合は30センチのものを使っています。買ったのは、川越そばの会という通信販売の蕎麦道具屋さんで、私はこの切り板の他に、包丁や篩のセット、麺棒等、色々と買っています。商品は確かなものだと思います。
寄木の切り版
さて、本命の寄木作りの切り板です。鯖江市というところに、県内外の蕎麦打ち名人や名の通った打ち手達が集う、木工所があります。山岸さんという相当年配の職人さんの店ですが、この人が作る蕎麦道具は、皆が欲しがる秀逸なものばかりで、中には垂涎の一品、というのもあります。忙しくて、リクエストには応じて貰えない程ですが、私もご縁があり、ここで幾つかの物を作っていただいています。別の機会にご紹介しますが、捏ね台というか捏ね鉢の台も、オーダーメイドで作って貰いました。因みに、毎年福井で開催されている「全日本素人そば打ち名人大会」で公式使用されているものと同じものです。
寄木の切り板は、山岸さんの作品です。以前から知人の料理職人に頼んでいましたが、昨年の秋に二枚出来た、という連絡があり、知人が取りに行ったものです。寄木ですから手間もかかり又、一枚一枚、ブロックの並び具合、目の揃い具合等、個性があるそうです。最高級ではないでしょうが、私には十分な立派で綺麗な切り板でした。蕎麦打ちなら皆、憧れる寄木の切り板。とうとう手に入りました。長さ91センチ、幅35.5センチ(寄木部分31センチ)、厚さ6センチ(寄木部分3.1センチ)という大きさです。
早速、使用してみましたが、厚みが6センチ、打ち台が高さ80センチですので、包丁が当たる高さは86センチになり、第一印象は、チョット高いかなぁ、でした。これまでの軽量抗菌ゴムの切り板は、厚さが0.8センチですので約81センチ、5センチ高いと流石に高く感じました。しかし、使い込むうちに高さはあまり気にならないようになりました。と言うか、切る際の姿勢が良くなったのか、終盤になっても駒板が平行にスライドするようになり、麺の三角残りが殆ど無くなりました。駒板の送りが上手くないとどうしても出る、三角残り。悩みの種でしたが、どういう訳か悪癖が修正されるという、思わぬ効果がありました。高さ加減が良かったのか、寄木の効果で麺体が動かないから良いのか、包丁での駒板の送りが上手になったのか、将又、名品が故の仕業か、ですが、兎に角、買って良かった寄木の切り板です。一層、蕎麦道に精進します。
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