今、長年、放置していた石臼の手入れをしています。上臼、下臼共に目立て直しですが、下臼については削り直しです。目立てが完成したら、玄蕎麦を挽いてみて、結果を又、投稿しますが、今回は試行錯誤している目立ての状況を中間報告として投稿します。
現在の石臼は未完成
下臼が、前回(十年以上前)削り直しをした時に、中心から外周部にかけて少し丸みが出た状態になってしまい、上臼のクリアランスが十分に活かされていない、又、一番大事な外周部の擦り合わせ部分も溝がバラバラの状態で、二回、三回と挽き直しをしないとしっとりとした粉が出来ない石臼になっていました。見よう見真似で自作した電動石臼でしたが、根本的な部分で雑な造りであり、単に粗い蕎麦粉が挽ける程度の未完の電動石臼でした。
以前投稿した農家さんの石臼は、下臼に傾斜はあるものの、中心から外周までは直線、又、外周部分は擦り合わせが十分で、如何にも微粉が出来るような仕組みでした。
下臼をディスクグラインダーで作り直し
手持のディスクグラインダーは、一番小さいサイズですが、石材研磨用のフレキシブル砥石(ナニワ研磨工業製)を着装して、中心から外周部分の丸みを取りました。外周部に少し溝が残るだけの作り直しに近い研磨をしました。中心から外周に若干の傾斜のある直線に仕上げました。実は、私の石臼も玄蕎麦を挽くには最適と言われている、福井県美山町産の小和清水石でした。結構硬い石で、フレキシブル砥石を3枚擦り減らし粗削りをした後、手で触りながら水平を出す作業の繰り返しで、丸3日かかりました。この作業をする際は、ゴーグルとマスク着用が必須要件です。
溝彫りはダイヤモンドカッターで
写真のような模様の8分割の9本線です。鉛筆で下線を引き、切断用のダイヤモンドカッターで溝彫り。硬い木の定規(水平定規)を当てて、浅く削るように溝を引きました。回転する刃を石に押し当てて溝を掘るので、中々、真直ぐにならず、又、外周部は削らなかったので、元々の溝の間隔を引きずっていて均等な溝模様にはなりませんでした。しかし、今後も何回も機会がありますので、今回はこれでやってみました。グラインダーの回転は強力ですので、しっかり持たないと暴れて余計な所が削れてしまいますのでご注意を。
コツは、いきなり深い溝を掘らず浅く浅く、彫ることです。ダイヤモンドカッターは、グラインダーから外して手で持ち、刃で溝をなぞれば、結構、削れますので、溝の深さはこの方法で調整するのが良いと悟りました。又、この手作業で、溝が滑らかになり粉送りがスムースになると思います。
以前は、手斧という道具で、下書きの線の上を何万回も叩き溝を掘りましたが、案外、この方法でも上手く、短時間に溝が掘れます。
線彫りは、Dremel製ハンディルーターがお勧め
溝と溝の間には平らな部分がありますが、この部分の表面に細かい溝付けをすることで、蕎麦の実を擦り潰す仕組みですので、ここに細かな線を入れます。従来は、ここも手斧でコツコツと叩きながら細い線を入れていましたが、線が粗くなったり欠けたりして難しい作業でした。しかし、画期的な方法が見つかりました。
それは、Dremel(ドレメル)製のハンディルーター(製品名:ハイスピードロータリーツール3000‐N/10‐60)にダイヤモンドカッティングディスクを着装した道具を使うことです。充電式とコード式がありますが、充電式は2時間半充電して連続20分程度しか使えませんので、目立て用としてはコード式が断然、お勧めです。コード式は、ペン型、3000、4000の3種類がありますが、石臼の目立て程度では、3000で十分だと思います
今までの苦労は何だったかのように、細かな線(溝)が、実に手軽に彫れます。
ドレメルのリーター
外周部の擦り合わせの調整
一番肝心な所は外周部で、この部分が広い程、きめ細かな粉が挽けます。この部分の精度が肝心で、今までの手斧では、欠けたり、深すぎたりして精度が出せませんでしたが、ハンディルーターを使うことで一変しました。
蕎麦の実を入れて、上臼と下臼の擦り合わせ部分の調整をしていますが、なかなか良い感じに仕上がっています。今後、蕎麦の実の供給機の調整と共に、外周部の擦り合わせの細かな調整をします。取敢えずの中間報告です。因みに、石臼の手入れ後や玄蕎麦を挽いた後のメンテナンスには、吸引力の強い掃除機が重宝します。何かと粉だらけになるのが蕎麦打ちですから、掃除機は必須アイテムです。
蕎麦の花が咲きだしました
収穫期の稲が黄金色に色づく頃、所々の田圃で真っ白な花で一面になるのが蕎麦畑。綺麗な風景ですが、近くに寄ると鶏糞の匂いがします。まるで鶏小屋が近くにあるみたいな臭さです。
十年来のお付き合いをいただいている坂井市丸岡町(旧丸岡町)の農家の田圃でも順調に蕎麦が育っているようです。先日の台風の影響が心配でしたが、少し雨は降ったものの直撃は無く影響は受けていません。しかし、これからが台風シーズン、油断はできません。
昨年は、県下一円、十年に一度あるかないかの豊作でしたが、今年は如何でしょうか?夏蕎麦は順調で、風味、味ともに良好でしたが、秋蕎麦にも期待が高まります。
日本一と評判の福井県在来種の玄蕎麦で作る十割蕎麦、今年も待ち遠しい限りです。微力ながら普及に尽力したいと思います。
コメント