石臼の目立ては、電動ルーターの採用で殊の外、作業が捗り、予想以上に細かい粉が挽けるようになりましたが、石臼に玄蕎麦を投入する仕組みについては、まだまだ、改良の余地があります。石臼の回転に合わせて、適量を投入する仕組みですが、電動石臼を製造販売するメーカーさんも、工夫処だと思います。
玄蕎麦自動供給機
私の場合は、玄蕎麦が重力に応じて小さな升に落下したものをソレノイド(電磁石)で引っ張り石臼に落とす、という仕組みを考えた訳ですが、升の容量により粒量が変わるので、少ないと空回りの恐れ、多いと上臼が浮いてしまう恐れがあり、粉の出来に大きな影響があります。どの位の大きさの升が良いのか、ここが調整ポイントになります。幾つかの升を作り、実験すること数回。やっと、適量が落ちる升が完成しました。
ソレノイドは、ピッチが10㎜の物を使っていますが、固定するのに動画のような四角い固定具を使っています。小さな升は木片を加工して作りますが、微妙に長さが変わるのでソレノイドの位置を可変できるようにしました。小さな升は複数個、作りました。
自動供給機は、石臼への玄蕎麦の投入が停止しないことが肝要です。一応、2回程、玄蕎麦2㎏で実験しましたが、1度も止まりませんでした。監視が必要無いような精度になることが一番なのですが、未だ、そこまでの信頼性はありません。只管、挽き具合を見守っている現状です。
石臼中心部
下臼は、外縁部に向かい緩やかに傾斜していますが、中心部に玄蕎麦が落ち込む、という現象が起きていました。中心部の回転する芯棒の穴が大きく、そこから玄蕎麦や蕎麦粉が落ちていました。下臼を台から外して見たところ、相当量の玄蕎麦と蕎麦粉が溜まっていました。
中心部の穴をどのように塞ぐか、方法を考えました。薬が入っていた直径35㎜の容器(写真は同じ大きさのモノ)の底を切り抜き嵌めてみたところ、丁度良い大きさだったので、外周に防水ソフトテープを貼り取り付けました。ピッタリと合いましたので、芯棒にもソフトテープを巻付け、穴を開けたキャップを取り付けました。芯棒の回転に差障りは無く、隙間が全て埋まったので、玄蕎麦や蕎麦粉は落ちなくなりました。
後は、挽き終わりに、下臼に少し、挽き残しが溜まることを、改善したいと思っています。
令和4年9月9日 追伸
石臼の中心部の穴が真円でなかったので、改良しました。
石臼のメンテナンス
石臼に未だ、それ程の精度はありませんので、外周の小さな溝、大きな溝からの粉の出方が均等かどうか、また、上臼を外して、合わさり具合を粉の付き方を観察しています。粉の付き方は概ね、均等ですが、上臼の外周には粉が付いていないので、まだまだ、傾斜具合の調整が必要です。
石臼の8つのブロックの内、1つのブロックに7本の小さな溝、各ブロックの間に8本の大きな溝があります。大小のそれぞれの溝の幅や深さが均等であれば、粉の出方も均等に出ると思います。特に下臼について、この部分を毎回、点検して溝を少しずつ削り、調整をしています。ピッタリになるまでは、何回も何回も続ける必要があると思いますが、理想形に近づけば、擦り減り具合も均等になりますので、後が楽なのでは、と思っています。因みに、目立て作業後の石臼の粉や、玄蕎麦を挽いた後の石臼のメンテナンスには、掃除機が便利です。粉が細かいので吸引力が強力なものがお勧めです。
目立て師
昔から、粉が良く出る石臼、出ない石臼がありましたが、良い粉が出る石臼はこのような調整の果てに生まれるものだと思います。今は、石臼の需要は、粉屋か、蕎麦屋か、豆腐屋等の一部に限定され、腕の良い目立て師も居なくなりましたが、せめて目立て師の苦労を味わいたいと思っています。石臼を使う粉屋さんは、皆、優れた目立て師です。
もうすぐ、秋蕎麦のシーズン。早い処では刈入れも終え、乾燥作業に入っています。待ち遠しい秋蕎麦、早く試したい気持ちです。
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